[No.102] 2008/01/23 (Wed) 07:00
『100回泣くこと』 中村 航
![]() | 100回泣くこと (小学館文庫 な 6-1) (2007/11/06) 中村 航 商品詳細を見る |
《あらすじ》
交際3年、求婚済み、歳の差なし。ここが世界の頂点だと思っていた。こんな生活がずっと続くんだと思っていた――。精緻にしてキュート、清冽で伸びやか。野間文芸新人賞作家が放つ、深い喪失を描いた物語。
《感想》
中村航さんの本は初めて読みましたが、とても優しい文章でした。
この作品には好きなシーンがたくさんあります。
バイクを直すところ。犬に会いに行くところ。プロポーズするところ。
結婚に向けて練習するところ。
前半の静かで穏やかな日々。
彼と彼女はこれからも、永遠に一緒に過ごしていくんだなというように。
しかし、後半、彼女は病気に。
静かで穏やかな日々の崩壊。
彼女は開かない箱を作って欲しいといい、仕事が終わったら作るよ、と約束しますが、彼女は箱が完成する前に死んでしまいます。
永遠に開くことのない箱と一緒に取り残された彼。
彼女との思い出でいっぱいの部屋。
物語は彼の一人称で書かれています。
その淡々とした彼の語り口調は、彼女を失った彼の喪失感をとてもよく表していたと思います。
「最愛の人の死」というテーマの本はたくさんありますが、私はこの本がとても心に残りました。
「風が吹いて、愛が残った」
帯に書かれたこの言葉はこの物語そのものです。
愛する人を亡くしても、その人を愛したということを大切に胸にしまい、また前を向いて歩いていく。
愛する人が死んでしまったら、それはその人の中で永遠になるんだろうな。
★★★★☆



